どのような業種であっても、商売を続けていくには不可欠なものがあります。それは利益を出すことです。 ただ、利益をしっかり出すにはしっかりとした「利益が出る仕組み」「儲けの仕組み」が必要です。言い換えるならビジネスモデルです。
そこで今回は儲けの仕組み(ビジネスモデル)の基本パターンについて図解を用いながら7つご紹介します。 図解化することで抽象化が可能で、ビジネスモデルへの理解が進みます。
世の中のビジネスの殆どは今回ご紹介する基本パターンを踏襲するか、応用しているだけと言っても過言ではありません。
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ジェームス W.ヤングは、「アイデアのつくり方」という本の中でこう言っています。
「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
新しいアイデアはまったく何もないところから生まれるものではなく、既存のアイデアに既存のアイデアが組み合わさることで新しいアイデアが生まれるのです。
新しいビジネスモデルの生み出し方は、この新しいアイデアの生み出し方と同じです。
どれだけ斬新に見えるビジネスモデルも、多くの場合、既存のビジネスモデルの新しい組み合わせにより生まれています。
従って今回は既存のビジネスモデルを多く知ることこそが、新しいビジネスモデルの創出につながるという仮説に立ち、儲けの仕組み(ビジネスモデル)の基本パターンを7つご紹介します。
商品の引渡しと同時或いは事後的に支払いをすることで成立するシンプルなビジネスモデルです。
解説する必要もなく、ほとんどの飲食業、小売業が採用するモデルで、一番身近なビジネスモデルです。
仕組みはシンプルですが、商品の提供方法や価格の設定の仕方で応用させたものは沢山あります。
例えば、価格設定を工夫した例としてはダイナミックプライシングを導入したものです。代表的なのは旅行会社が採用するもので、繁忙期は高く閑散期は安くなります。最近ではスポーツ観戦のチケット料金にもこのダイナミックプライシングが採用されていることもあり、収益の最大化だけでなく混雑の緩和も図れるのが特徴です。
このダイナミックプライシングは、事前予約が必要で容量、キャパが決まっていて、固定費が一定のビジネス、例えば輸送、宿泊、演劇のようなビジネスに横展開できるビジネスモデルです。
仕組みがシンプルな分だけ、わかりやすく価格以上の価値を提供しなければなりません。 価格設定の方法だけでなくBtoCだったものをBtoBに変えたり、卸を通さず直接販売するDtoCに変えるなど販売先、販売方法を変えることで新しい仕組みが出来る可能性があります。
シンプルモデルの応用として挙げられるのがサブスクモデルです。 商品やサービスを長期的かつ定期的に使い続けてもらい、一定の売上を確実にあげていく定期収入モデルです。 確実な収入が見込め売上が安定するのが最大のメリット。
dマガジン、NETFLIX、スポーツジム、家賃、エアクローゼット
Saas系サービスの多くが「使い放題」を謳い文句にこのビジネスモデルを採用していますが、家賃や税理士の顧問報酬など仕組み自体は古くからあるものです。
「使い放題」であることをウリとして考えるならば、使用しても在庫などが減らないデジタルサービスに相性が良いと言わざるを得ません。
ただ、デジタルサービス以外なら家具や絵画、車など長期にわたって使用して貰えそうなものが対象になるのではないでしょうか。
あとは、サービス利用までの最初のハードルをいかに低くするか、そして一度使い始めるとやめられないユーザー体験をいかに作り出すかにかかっています。
本体部分を極めて低価、或いは無料で提供した上で商品購入のハードルを下げ、その後の消耗品などで利益を上げていく仕組みです。
ジレット髭剃りであれば、魅力的な髭剃りの柄の部分は安価で提供した後、消耗のつど交換購入が必要な替刃で利益を上げていきます。
本体商品 | 利益を上げる消耗品 |
ネスプレッソマシン | コーヒーカプセル |
ジレット髭剃りの柄 | 替刃 |
プリンター | インクカートリッジ |
その他、応用編として、魅力的な本体商品を呼び水にして、バックエンド商品で利益を回収するものは下記の通りです。
本体商品 | 利益を上げる商品 |
ラスベガスのホテル | カジノ |
格安旅行 | オプショナルツアー |
居酒屋の格安のおつまみ | アルコール |
消耗品を中心とした補完商品が収益のポイントだと見抜けた場合はこのビジネスモデルを採用できます。 このビジネスモデルは本体が壊れない限り、ブランドスイッチが起こりにくくLTVが高くなるのがメリットです。継続的に消耗品で稼ぎ続けることができます。
不動産会社の仲介業が好例で、提供するのはマッチングの場で借主と貸主の両方或いは、どちらか片方から手数料を徴収する仕組みです。リクルートが得意とするビジネスモデルでリボンモデルと呼ばれることもあります。
不動産会社、求人サービス、hotpepper
不動産業者の場合は①借主から仲介手数料 ②貸主から広告料を得ることが多いようです。
求人サービス会社は求職者からは手数料を得ず、求人企業から広告掲載料を得るというモデルで運営しているケースが一般的です。
また、Airbnbやuberのように企業、個人が持つ有休資産をプラットフォームを通じて提供するシェアリングエコノミー、出前館やUber eatsのようなデリバリー系サービスもマッチングモデルの一種と言えるでしょう。
このマッチングモデルを成功させるためにカギとなってくるのは、提供者(不動産屋さんであれば不動産オーナー、求人サービスであれば求人企業)とユーザーを同時かつ大量に集める必要があるということです。
どちらか一方だけでも成立しないのがこのビジネスモデルで、それなりの営業力が求められます。
「フリーミアム」(Freemium)という単語は、「フリー」(Free、無料)と「プレミアム」(Premium、割増)を合体させた造語で、クリス・アンダーソンが「フリー」という本で紹介して一躍有名になった概念です。
無料版で多数の顧客を呼んで、魅力を高めた有料版を購入してもらうモデルで、 新規客の獲得というどんなビジネスでも難しい作業が無料にすることで簡単になります。
ネットゲーム、Newspicks、Spotify
一部の有料版の顧客が、多くの無料版の顧客の費用を負担するという構造です。強いコンテンツを持ちユーザー数の多少に関わらず固定費が一定のデジタル系サービスに相性がいいビジネスモデルです。有料版の課金方法はサブスクモデルが多いように思います。
フリー戦略のポイントは、価値のあるものを無料で提供することにあります。 無料そのものにパワーがあるのではなく、本来ならお金を払わないと手に入らないようなものが、無料であるためパワーが生まれます。
その後は無料で提供したものが有料商品へ自然につながるよう設計することです。メディアサイトでよくあるパターンは、ここまでの情報は無料、ここからは有料、のような感じです。
雑誌、新聞、民放テレビ局、SNSに代表されるように、人の集まる場、目を引く場所を作ることで、企業から広告料を徴収するビジネスモデルです。 SNSやテレビ局、フリーペーパーは無料でコンテンツを提供し、新聞、雑誌は有料でコンテンツを提供しています。
google、雑誌、新聞、民放テレビ局、SNS
Googleは高性能な検索エンジンを提供するとともに、その検索機能を最大限に利用した広告です。
このビジネスモデルのカギになってくるのは、スポンサーの広告効果を高めるために「多くのユーザーを集めること」、そして、ユーザーを集めるための「魅力的なコンテンツ」の提供です。
開発済みのものを転用しもう一度商品化していくビジネスモデルです。再利用する際には開発コストを抑えられるというメリットもあり、1粒で2度美味しいビジネスモデルです。
週刊少年マガジン、笑ってはいけない、楽器屋の音楽教室
週刊少年マガジンなどの雑誌に掲載された作品は単行本として発売されます。しかも、人気のものはここから映画、更にキャラクタービジネスへと展開されていき、1粒で2度どころか、3度、4度と繰り返し収入を上げていくことができます。
人気のテレビ番組はDVDにして販売するなど2次利用が可能です。DVD販売による2次利用による収入が見込めると制作費も多く投入でき良い循環が生まれます。
コンテンツビジネスだけでなく楽器屋の音楽教室のように楽器演奏ノウハウを商品にするのも転用モデルと考えることができます。
転用はコンテンツビジネスに多くみられますが、それ以外でも開発済みのものでもう一度商品化できるものはないか検討する余地は十分あります。
例えば、モノを売っていた会社でも、そのモノを売るノウハウ自体を売ることはできないか?社内研修用のコンテンツを外部にも販売できないか?など 社内ではごくごく当たり前のものも、外部の人間にとってはかなり特別な付加価値を持つ可能性はあります。
仕組み(ビジネスモデル)の基本パターン7つ
・シンプルモデル
・サブスクモデル
・ジレットモデル
・マッチングモデル
・フリーミアム
・広告モデル
・転用モデル
上記基本パターンを踏襲するものも多くありますが、一方で組み合わせるなどで応用しているケースも多くあります。
例えば、楽器屋の音楽教室などは月謝をもらうサブスク、転用モデルの組み合わせですし、Newspicksなどはフリーミアムとサブスク、広告モデルの組み合わせです。
ワンストップで様々なツールの作成が可能です