カテゴリー:起業開業
有店舗型の商売を始める際には、開業場所の選定は最初のステップであり、なおかつ大変重要なステップです。
開業後どれくらいのお客様が来てくれるのか目処が立たなければ、事業計画の作成はもちろん、借入れや返済計画も立てようがありません。
何よりその立地でお店としての経営が成り立つかどうかを判断しなければなりません。 そこで今回はどのような場所に出店すれば良いのか、その選定方法や商圏調査方法をご案内します。
商圏とは自分のお店に来てくれるお客が存在する範囲を言います。
辺鄙な場所で開業したものの、SNS等で話題になり多くのお客さんを集める、なんてこともある時代ですが、まずは多くの方の目に触れ、気軽に立ち寄れる場所に店を構えることで事業の成功確率を上げてくれます。
そこで出店場所を判断するにあたって、店舗にどれくらい集客できるか、その判断基準の一つとして使えるのが商圏です。 商圏の把握と分析を行うことができれば、新規出店の成功につながります。
その地域の人口、世帯数、年齢層、性別、最寄りの駅の乗降客数など店舗のターゲットがその商圏にどれ位存在するか、という視点で把握しなければなりませんが、一次商圏にどれくらいの人がいるのかで店舗の成否は大きく影響されます。
一次商圏とは一般的に徒歩で10~15分程度、半径500mから1km程度の距離を考え、お客様の約60%がこの範囲の住民であると言われます。
商圏には、二次商圏・三次商圏という概念もあり、二次商圏とは一般的には自転車で10~15分程度の距離を考え、バスや車等を利用して来店するお客様の分布範囲です。お客様の20%程度とされます。
また、3次商圏とは一般的に電車やクルマで30~40分圏が該当します。距離や時間に関係なくお店の専門性やスタッフの人柄など立地以外の要因によって来店する圏域を言います。
業種毎の商圏範囲は、それぞれの状況により異なりますが、一般的には下記のように考えられています。
コンビニエンスストア 500m以内
ファミリーレストラン 2~3km以内
ドラッグストア 2~5km以内
飲食店 500m以内
最近は様々な便利なツールが存在しています。上手に活用することで簡単に商圏データを分析することが可能です。
総務省統計局及び独立行政法人統計センターが提供し、Webブラウザ上で操作することができる無料で高機能のツール。商圏分析を行うことができます。
日本全国どこでも 商圏人口・世帯数がすぐわかる、無料の商圏分析アプリです。 商圏は3つ、半径は最大10kmまで指定可能、商圏内の人口分布もマップですばやく確認できます。
開業後は上記商圏のお客様が順当に来店するわけではなく、他の競合店と分け合うことになります。
一般的には、円で示した自店と競合店の一次商圏を検討し、競合店の集客力や人気を勘案することになります。
出店がうまくいかなかった時、その要因としてよく挙げられるのが競合店舗の影響です。それらは距離や業種を超えて影響することもあります。
競合店に勝てる商品づくり、価格設定など付加価値のあり方を検討する必要があるでしょう。
候補となる物件が見つかれば、ターゲットとする客を誘導しやすいかという視点でチェックを行います。
理想は人通りが多くあり、目立つ場所にあることです。ただ、通行量の多い道路に面していても中央分離帯のある道路に面した場所では、反対車線から来店できませんし、駅に近いものの主要な出入口と反対に位置していては、お客を簡単に誘導することができません。
人の流れは、道路のつくり、山・川などの地形、駅・スーパーなどの施設などの影響を大きく受けます。
集めたデータのみで判断するのではなく、実際に出店予定地に出向いて曜日別、時間帯別の実地調査を行う必要があります。
候補の物件はメイン道路などから視認性があるでしょうか?様々な販促手段が存在しますが、店の前を通る人に存在を知ってもらうことは最強の販促方法です。
もし、店の前を通る人に認識してもらえないという状況であれば、お客さんにとっては存在しないのと同じです。また、その他にも下記事項の確認も必要です。
・埋蔵物が出土する土地(調査に1年以上かかり、費用もかかる)でないか
・過去に洪水や災害がなかったか
・賃貸であれば入居者のチェックをする(暴力団事務所等が入居していないか)
一度立地場所を選定してしまえば、簡単に後戻りできるものではありません。いかに商圏調査で勝算があっても上記のような要因があれば見直しが必要になります。
まとめ
事業成功にあたってどこに店を構えるかは大きな意味を持ち、いい場所に店を構えることは事業の成功確率を上げてくれます。 立地選定までの流れをまとめると下記の通りとなります。
1. 事業コンセプトが決まった後は、そのコンセプトに見合った場所にある物件を探します。
2. ツールを活用するなどして商圏の把握と分析を行います。
3. 競合調査を行い自店商品のあり方、付加価値のあり方などを考える。
4. 現地調査を行い導線や物件のチェックを行う。
一例として流れをご紹介させて頂きましたが、これは決して絶対的なものではありません。状況に応じご判断下さい。
ワンストップで様々なツールの作成が可能です