ネーミング方法12選と事例 ヒットを生み出す名前のコツ

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ビジネスを行う上では、商品、イベント、施設、キャラクターなどなどネーミングが必要な機会は沢山あります。

しかし、ネーミングに際して「簡単に決めることができなかった」「名前をつけたけれど、どうもしっくりきていない」「あまりに安易に決め過ぎた」という方も多いのではないでしょうか?

これは絶対的な正解が無いことや、ネーミングに関するコツを知らないことに原因があるのではないかと思います。

「商品の名前を聞いただけで、すべてが伝わってしまった」
「商品の名前が耳に残って離れない」

もし、このようなネーミングを商品に与えることができれば、とてつもない販促効果を商品に与えることができます。

昨今のように、毎日、大量の新商品が店頭に並ぶような時代には、ネーミングは大変大きな役割を果たすようになっています。

そこで今回は誰でも簡単にネーミングが出来るようになるコツ、方法を事例とともにご案内したいと思います。 ネーミングセンスがないと思っている方も心配ありません。センスがないのではなく、単にその方法を知らないだけです。

 

 

 

ネーミングの成功事例

膨大な量の情報が飛び交う現代では、商品そのものがどれだけ優れていても、ネーミングに失敗すれば市場から消えていくこともあります。

一方、ネーミングに成功すれば、たとえ商品は同じでもまったく異なる状況をつくることができます。以下は当初売上が芳しくなかったものの、ネーミング変更により大きく売上を伸ばした事例です。

 

通勤快足

例えば「通勤快足」という靴下があります。サラリーマン向けの抗菌防臭靴下で、以前は「フレッシュライフ」という商品名でした。

発売当初は全然売れず、商品のコンセプトを商品名に反映させることを考え、昭和62年(1987年)に商品名を「通勤快足」と命名して再出発したところ、爆発的ヒットとなり売上げは一気に10倍近くになったと言います。

 

鼻セレブ

また、「鼻セレブ」という商品があります。元々は「ネピアモイスチャーティシュ」というネーミングで販売されていたのですが、「鼻セレブ」にネーミングを変更しリニューアルしたところ4倍近い売上げを記録したそうです。

 

お~いお茶

今や緑茶の定番「お〜いお茶」も発売当初は「缶入り煎茶」として市場に出されました。当初売上が振るわなかったものの「お〜いお茶」にネーミングを変更することで「缶入り煎茶」の初年度と比べ売上6倍になったそうです。

このように名前の付け方次第で、商品の引力は大きく変わってきます。

毎日、膨大な量の商品が店頭に並んでいる状況では、まず、自分達の商品に興味を持ってもらったり、手にとってもらうだけでも実は大変な確率です。 ネーミングはマーケティングの突破口になります。

 

 

ネーミングの準備(キーワードの抽出)

以下のネーミング方法に取り組む下準備として、商品の強みやその商品が他と違う部分、思い、コンセプトなどをキーワードというかたちで抽出しておきます。
どんな些細なことでもいいので、短い言葉でどんどん抽出しておきます。

そして、ターゲットとするお客さんも明確にしておきます。
ネーミングにあたっては、このキーワードたちを手掛かりに発想していき、ネーミング候補がターゲットにふさわしいか検討します。

 

 

 

具体的ネーミング方法

 


キーワードを組み合わせる


これはキーワードとなる二つの言葉を組み合わせる方法で王道とも言える方法です。

実例
例えば、「コーヒー」と「牛乳」を組み合わせた「コーヒー牛乳」
「男前」と「豆腐」を組み合わせた「男前豆腐」のような具合です。

誰にでもできるかなりシンプルな方法ですが、シンプルであるが故にどんな言葉を組み合わせるのか言葉に対するセンスが問われます。

面白いのは、常識ではありえない組み合わせが生まれた時です。例えば「女装する女」や「うんこドリル」のような火花が出るような言葉の組み合わせができた時、化学反応が起こります。

実施方法
1.文字数の少ないキーワードを選ぶ。
2.響きの強いキーワードを選ぶ
3.(意外性のある)言葉を組み合わせて印象を強くする

 

 


キーワードを組み合わせてアレンジする


キーワードの組み合わせには発展形もあります。
それは言葉を組み合わせた上に、その言葉をアレンジする方法です。
この方法はキーワードの組み合わせだけではインパクトに欠ける場合や、語呂が悪い場合などに有効です。

実例
たとえば、「リンス」と「シャンプー」で「リンプー」
「ゴリラ」と「クジラ」で「ゴジラ」
「ごはん」と「パン」で「ゴパン」 のような具合です。
ゴパンのネーミングは「ごはんぱん」よりも、「ゴパン」のほうがシンプルで力強いですよね。

実施方法
1.意味に重点を置いてキーワードを選びます。
2.二つの言葉の意味を維持しながら文字をカットしたり変えたりしていきます。

 

 


キーワードの文字やスペルを変える


次は、キーワードや実在の単語のスペルや言葉を入れ替えてみる方法です。この方法は既に知っている単語を用いるため、耳触りや語感が良いのが特徴です。

実例
デニムブランド「Edwin」 は、「denim」を組み替えたものですし、
最近は見かけませんが飲料「Dakara」は「カラダ(karada)」を組み替えたものです。

また、Googleはgoogolという(10の100乗)という意味の言葉を変形させたものですし、
Flickrは「flicker(点滅)」という言葉からeをひとつ取り変形させたものです。

実施方法
1.キーワードを抽出する
2.ローマ字にして組み替えてみる
3.キーワードの一部を「abc順」或いは「あいうえお」順で変えて新しい名前を試してみる

 

 


機能をそのまま表現する


これはもうずばり、小林製薬が得意としているところです。機能、特徴をそのままずばり名前にする方法です。

実例
「熱さまシート」「のどぬ~るスプレー」「サカムケア」「なめらかかと」「スリムドカン」「しぼりだしドカン」「ひざこしげんき」 ものすごいインパクトで、名前を聞いた瞬間にその効用やメリットがわかります。

差別化のポイントが「機能」にある、生活必需品や悩み解決系に多い傾向があります。

ただ、この方法は医薬品以外にも使えるはずで、実際に通販の「アスクル」は「明日来る」から派生したものです。その商品・サービスを使うとどのような良いことがあるのか、その施設を利用するとどのような気分になるのか、それをそのままネーミングに落とし込みます。

実施方法
1.その商品、イベント、施設のメリットやベネフィットを抽出する
2.メリットやベネフィットの接頭語や語尾などをアレンジする

 

 


ダジャレネーミング法


軽はずみにダジャレを言ったがばかりに、空気を凍りつかせてしまったという経験をお持ちの中年男性も多いと思います。

日常生活において、禁断の果実扱いをされているダジャレですが、ネーミングにおいてはかなり強い効果を発揮します。

実例
例えば、「神社エール」「芝耕作」「安全湿地帯」「大清快」「野菜中心蔵」、翻訳ソフト「コリャ英和」などがあります。

ネーミングは注意を引くことが当初の目的ですので、失笑してしまうくらいのネーミングが一番破壊力があります。

ダジャレを言うせいで普段冷遇されているおじさんは失地回復のチャンスです。

 

 


オノマトペネーミング


オノマトペとは、擬音語、擬態語のことを言います。

擬音語というのは、「コトコト」「ツルツル」など物が発する音や声を真似て字句で描写した語句のことを言います。
また、擬態語というのは「ワクワク」「ニヤニヤ」のように状態や心情、音のしないものを音によって表す語句のことを言います。

オノマトペを使ったネーミングは、直感的、感情的に商品の特徴を訴える場合に有効です。

実例
例えば、「じっくりコトコト煮込んだスープ」「もちぽにょ」「くるりんポイ」「ゴキブリホイホイ」「ねば〜る君」などがあり、特に食品の場合シズル感を演出することができます。

実施方法
1.自分の商品の特徴を擬音語、擬態語で考える
2.擬音語、擬態語をアレンジしたり組み合わせたりする

 

 


擬人化法


これはキーワードに「くん」「さん」「ちゃん」や役職をつける方法です。敬称をつけるだけで、体温が生まれますし、親近感を感じやすくなります。

実例
敬称パターン「ガリガリくん」「きゅうりのきゅーちゃん」「こてっちゃん」「むじんくん」
役職パターン「勘定奉行」「会計大将」「ミスタードーナツ」「麺職人」
名前パターン「うるるとさらら」「伊右衛門 」「ひとりででき太」

「勘定奉行」「会計大将」などは現代に置き換えると「●●社長」「●●課長」「●●所長代理」という感じでしょうか。 この擬人化の方法は 機械やソフトのように無味乾燥なものには特に有効かもしれません。

番外編として「にゃんぎらす」「チョコザウルス」など恐竜や怪獣にしてしまうパターンもあります。 固いイメージがあるものを恐竜や怪獣にしてしまうと面白いかもしれません。例えば「会計ザウルス」といった具合に。

キーワードの組み合わせのところでもご案内しましたが、二つの言葉を組み合わせる場合、反対の意味を持っていたり、違和感のある言葉同士を用いるとインパクトが生まれます。

実施方法
1.キーワードに「くん」「さん」「ちゃん」「ミスター」「ミセス」「ミス」「社長」「専務」「部長」「代理」などをつける
2.名前を与える
3.恐竜や怪獣にしてしまう

 

 


外国語・謎の外国語化法


あまり直接的にキーワードを使いたくない場合や抽象的なイメージをつくりたいときなどは、キーワードを違う言語に翻訳してみるといいかもしれません。手垢のついていない名前をつけることができます。

実例
外国語を用いたネーミングでは例えば、「ドモホルンリンクル」「オメガ」「ネクター」などが挙げられると思います。

ちなみに「ドモホルンリンクル」の「ドモ」はラテン語の「抑制」、「ホルン」はドイツ語の角質「リンクル」は英語のしわを組み合わせた多国籍語です。ですが、なぜか高級感を漂わせています。

ただ、ネーミングにおいては覚えてもらいやすい、検索してもらいやすい名前をつけることが重要ですので、外国語を使った長い名前は覚えづらく不利に働きます。

また、単純に翻訳するだけでなく、
「カラムーチョ」 のように怪しい謎の外国語風の名前をつくるのもいいかもしれません。 「○○―チョ」「○○―レ」「○○ックス」「○○―ナ」のような言葉を語感重視でキーワードに足すだけで雰囲気はでてきます。

「アルビレックス」「サンフレッチェ」のようにJリーグのチームはこのようなパターンが多いように思います。

また、翻訳しなくても「防虫剤のムシューダ」「蚊取り器具のカトリス」のように日本語を強引にカタカナやローマ字にすると使い古された感や手垢が取れます。

実施方法
1.キーワードを他言語に翻訳する
2.「○○―チョ」「○○―レ」「○○ックス」「○○―ナ」のような言葉をつけて謎の外国語風にする

 

 


数字を利用する


『数字は嘘をつかなくても、嘘つきは数字を使う』という言葉がありますが、数字は客観的で、分かり易いがゆえ意味や価値を表しやすくなります。

実例
例えば、サーティワンアイスクリーム、十六茶、100円パーキング、100円ショップ、四万十川、セブンイレブンなどが挙げられます。
セブンイレブンはもともと朝7時から夜11時まで開店していることを表すためのネーミングでしたが、24時間営業の今もそのままです。

特に銀行は数字を用いた銀行名が多く、岐阜には十六銀行、長崎には十八銀行があり、長野の八十二銀行については十九銀行と六十三銀行が合併して誕生したと言われています。

他にもWeb3.0、M-1、R-1などもあります。 「◯-1」系のネーミングは、コンテストとかコンペでよく使われがちです。

実施方法
1.商品、施設などが生まれた由来のなかに意味を持つ数字がないか検証する
2.数字をそのままか或いはアレンジして名前に盛り込む

 

 


ビジョン・理念を活用


これもネーミング方法の王道と言えます。事業を行うにあたって掲げているビジョン・理念からキーワードを抽出し名前にしていく方法です。

実例
アパレルの「GU」は「もっと”自由”に着よう」というメッセージから名付けられていますし、ユニクロを展開する「ファーストリテイリング」は「ファーストフードのように早い小売業」という考え方から名付けられています。

実施方法
1.ビジョン・理念などからキーワードを抽出する。
2.キーワードをローマ字、カタカナにしたり、短縮するなど力強いものにする

 

 


逆から読む


キーワードを単純に反対から読む方法で、どこかで聞いたことがあるという感覚を生むことができるうえ、意外と新鮮な響きが生まれます。

実例
誰もが知るお菓子の「ポッキー」は「吉報」から来ていますし、海洋深層水を使用したミネラル飲料「ミウ」は「海」から来ています。他にも、「焼きそば」から「バソキヤ」、「すごい」から「イーゴス108」などが挙げられます。

実施方法
1.キーワードを反対にする
2.必要に応じてローマ字、カタカナなどにアレンジする

 

 


頭文字を使う


正確な名称やキーワードからその頭文字を繋ぎ合わせてしまう方法です。暗に意味合いを含ませるとともに名前に力強さを持たせることができます。

実例
個人型確定拠出年金である「ideco」は individual-type Defined Contribution pension planを略したものです。

石油輸出国機構である「OPEC」はOrganization of the Petroleum Exporting Countriesを略したものです。

モスバーガーはMountaion(山)、Ocean(海)、Sun(太陽)の頭文字を繋ぎ合わせたものです。

実施方法
1.その商品、イベント、施設を表現するキーワードや文章をつくる
2.その頭文字を繋ぎ合わせていく
DAIGOさんを憑依させ考えてみて下さい。

 

 

最後のチェック

上記の方法論を通じて生み出したネーミングを最後にチェックしていただきたいのは、それらが「シンプル」で「力強く」「わかりやすい」ものであるかということです。

複雑で覚えにくい、読みにくい、混同しやすい名前はそれだけでビジネスを不利にさせてしまいます。

自分たちの思いだけが先行したネーミングでないか、ユーザーの立場にたってその名前がどう響くのか、検証してみてください。

 

 

まとめ

具体的ネーミング方法

1.キーワードを組み合わせる
2.キーワードを組み合わせてアレンジする
3.キーワードの文字やスペルを変える
4.機能をそのまま表現する
5.ダジャレネーミング法
6.オノマトペネーミング
7.擬人化
8.外国語・謎の外国語
9.数字を利用する
10.ビジョン・理念を活用
11.逆から読む
12.頭文字を使う

 

現代は皆、情報の洪水の中に身を浸しているという状況とも言え、一個人、一企業が社会とうまくコミュニケーションを取るのが極めて困難な時代になってきていると言えるでしょう。

そこで、まず、手にとってもらう為の突破口になりえるのはネーミングです。

なぜなら、 どれだけ素晴らしい商品であっても興味を引き、手にとって貰えなければ、スタートラインにすら立つことができないからです。

このようにネーミングの重要性を薄々感づいているからこそ、どのような業界・企業ももだえ苦しみながらネーミングに知恵を絞っている筈です。

だからこそ、今回はコピーライター的なセンスがなくても いい名前を生み出すための方法論を提供できればと思いこのような記事を作成してみました。

 

 

 

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